子どもの発達と重さの保存認識
「繰り返し操作実験授業」
1.子どもの発達段階と認識方法について(児童の特徴)

(1)  試行錯誤的段階
  何事をも1つに中心化して見る。(自己の中心化,特定要因の中心化,)
  従って,その認識は他人の同意を必要としない。また,事象の1つの
  側面だけを見ていて複数の要因を加味することができない。
  この段階の特徴は,思考があまりはたらかないことである。「あーでも
  ない。こーでもない。」といろいろやっていくうちに偶然その認識にた
  どりつく。体験の積み重ねの中から自己を,あるいは特定の要因を
  中心化してとらえているといえる。
(2)  模索的段階
   脱中心化が可能になってくる。
 問題に対して仮説をたてて探っていく段階である。従って結果を法則と
 して認識していく。この段階の思考は論理的とは限らず非論理的なこと
 もある。脱中心化は活動によって,また,他人とのかかわり(話し合い
 など)によって可能になる。
(3)  操作的段階
  論理に基づいた活動による認識ができる。
  操作には3つある。この場合の操作とは手で操作することを意味しない。
 a 可逆操作 元に戻したら・・・・
 b 相補操作 縦が減った分,横が増えたから・・・
 c 同一操作 取ったり,くっつけたりしなかったから・・・
(4)  内省的段階←成熟した訳語はまだない。(反省と訳されることが多い。)
  論理的必然性の意識による認識の段階である。
  行動を振り返ることにより,実験しなくてもわかる。
 
 ※ 論理 : 条件と結論 こういう条件のときにはこうなる。
     やってみなくてもわかる。必然性の意識はあともどりがない。
   因果 : 原因と結果 科学的因果は実験によって確かめる。
     牛乳ビンを落とすと割れる? やってみないとわからない。
     思考の後戻りがある。
    アニミズム的因果 : 雨はカミナリ様が降らす。
    現象的因果  : 雲があるから雨がふる。
    科学的因果  : 水蒸気が凝結して雲になり,粒が大きくなると
            雨が降る。
2.重さの保存をどう認識するか
 @三つの操作(可逆,相補,同一)と実験器具(実践例1)(実践例2)

@ 教材・教具が三つの操作が可能であること。
A 教材・教具が児童の認識を深める方向に変化させることに目 を向かせられる構造になっていること。
B 基本となる現象を提示し、変化させるべき条件を明らかさせ たことにより、解決の構想まで見通した問題把握がしっかりで きること。
 A 実験の条件を児童が変化させようとする傾向
児童は繰り返し実験しようとするとき次の傾向がある。(実践例)  
条件を反対にしてみたい。
条件の差を大きくしたり小さくしたりしてみたい。
同じ条件で再度実験してみたい。
 
3.授業の流れについて(操作を加味した実験の個人による繰り返し)

【効果の出る学習内容の条件】
@3つの操作を具体的な生活経験から説明できる内容
A結果がとらえやすく,条件を変更することに意識が向けられる内容
B3つの操作に意識が向き,簡単に条件規制が設定できる内容
 
    【繰り返し操作実験授業の流れ】


 
 
 基本となる事象を基に子どもたちが様々に話し合うことは大変意義のあることではあるが,次の2点から,それだけでは論理による理解へとはならないことが見受けられる。
 @生活経験のない子どもの場合は,話し合いが十分に理解できないことがある。
 A 実験結果が得られても,この事象についての真実であって,条件が変わると
  結果も変わると考える子どもが少なくない。
 従って,実験によって得られた結果を基に,さらに自分の考えた内容で繰り返し実験することによって論理性が高まり,結論として理解することができると考えられる。
 
 

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